

「自分の人生を生きる」―二人の決意が導いたKEIPEとの出会い
―まず、お二人がCOLEREを運営するKEIPE株式会社に来た経緯を教えてください。
小西
僕は2025年4月に入社しました。その約2年前、42歳のときに脳の病気で倒れて、1ヶ月間昏睡状態に陥ったんです。目が覚めたときには体重が半分くらいになっていて、そこからはリハビリの日々でした。
KEIPEのことを知ったのは、入院中です。代表の赤池が取材を受けている記事を見つけて。「障がいを特別なものにしない」というビジョンに感銘を受けました。でも、そのときは50メートルも歩けない状態で。「歩けるようになったら、アタックしてみよう」って思ったんです。
―そして1年間のリハビリを経て、実際にKEIPEにアタックしたんですね!さまざまな事業がありますが、なぜCOLEREに?
小西
いろいろな縁があって、最終的に飲食事業に関わることになりました。病気になる前に飲食店を10店舗経営していた経歴があったので、その経験からだと思います。ボランティアのような仕事を想像していたんですが、まさかこんな形で経営に関わるとは思ってもいませんでした。
齊藤
私はMARLU SOUP(マールスープ)というKEIPEが運営するカフェのパートから始まりました。友人から「自分を大切にする」というテーマのお店だと聞き「いいな」と思い、応募したんです。
――「自分を大切にする」というテーマに惹かれた理由は?
齊藤
今まで自分のために生きていなかったなって、気づいたんです。結婚すると「妻」、子どもがいると「お母さん」になって、私個人が薄くなっていく。やりたいと思っても、環境や自分の中のブレーキで諦めることが多々あったんです。MARLU SOUPのコンセプトに触れて、「自立しよう」って心が決まりました。
ちょうどそのとき、COLEREオープンの話があって。社員になりたいと自分から手を挙げたんです。約20年ぶりに、正社員としてフルで働くことを決めました。
―20年ぶり!周囲の反応や、ご自身の中での葛藤はありませんでしたか?
齊藤
不思議なんですけど、迷いも不安も全くなかったです。もう自分の人生を生きる決意のほうが勝っていた感じで。MARLU SOUPで働く中で、KEIPEの社風や環境、仲間の雰囲気を感じていたので、安心感も大きかったですね。自分の覚悟とこの環境という2つの要素がうまくハマったんだと思います。

記憶障がいと向き合いながら、過去最高売上を達成
―小西さんは突然の病により高次脳機能障害を患ったとのことですが、仕事をする上で不安はありませんでしたか?
小西
2年間闘病していてパソコンも触っていなかったので、最初は本当に大変でした。高次脳機能障害で記憶の障がいがあって。昔のことも結構忘れているし、最近のことも忘れやすい。話している途中で別の話題を振られると、最初の話題を忘れてしまいます。
―記憶の障がいがある中で、どのように仕事に取り組まれたんですか?
小西
記憶は箱の中にあって、蓋が閉まっているだけなんです。蓋の開け方を忘れているけど、きっかけがあればその蓋が開いてふわっと出てくる。
例えば、売上管理の仕方。COLEREと関わる中で、売上管理の方法を思い出しました。
それまでのCOLEREでは、月が終わらないと数字がわからない状態だったんですが、飲食店は日次決算が大事なので、そのフォーマットを作って使ってもらいました。
それが評価されて、入社2ヶ月で過去最高売上を達成できたんです。
―入社2ヶ月で過去最高売上とは、すごいですね!周囲の反応はいかがでしたか?
小西
驚いていましたね!最初はパート勤務のような形で働いていたんですが、1年もたたずして正社員になりました。評価してもらえたのは本当に嬉しかったです。でも、お金よりも可能性に蓋をされずに働けることが何より嬉しいですね。

「接客は無理」と言われたメンバーが、輝き出した
―齊藤さんは、毎日現場でメンバーの成長を見守っていらっしゃいますよね。メンバーの変化を感じられた瞬間はありましたか?
齊藤
実は劇的な変化があったんです。周囲から「接客は難しいのでは?」と言われていたメンバーが「私接客をやってみたい」と言ってくれて。本人の意見を尊重して後押ししたら、輝き出したんです。今も積極的に接客してくれています。
小西
その人、今ホールリーダーに手を挙げてくれているんですよ。
齊藤
そうなんです。ホールリーダーを立候補制にしたら、3人が「やりたい」って手を挙げてくれました。その中には、内向的なメンバーもいて。他の場所では全然喋らなかったのに、ここに来てから積極的にコミュニケーションをとるようになったって聞いています。環境って本当に大事だなって思いました。
―それは大きな変化ですね!何がその変化を生んだと思いますか?
齊藤
周囲が可能性に蓋をしていただけだと思います。この場所では「できないでしょ」がない。挑戦しやすくて、サポーターが支えてくれる安心感がある。あと、COLEREの仕事は接客がメインなのでお客様と近いんですよね。接客をしていて「美味しかったよ」「丁寧に接客してくれてありがとう」って言われると、メンバーさんも嬉しいって。そういうやりがいは接客ならではかなと思います。
小西
僕は飲食事業のメンバーが主体的に動いている姿を、もっと多くの人に知ってほしいと思っています。みんなめちゃくちゃいい仕事をしているんです。本当はメンバー一人ひとりの頑張りを伝えたいですね。
ホールリーダー育成とその先の未来。2026年への挑戦
―大きく成長したCOLEREですが、2026年はどんなことに力を入れていきたいですか
小西
COLEREのモデルって、いい社会を体現していると思うんです。。障がいのあるメンバーが当たり前に働けて、去年は結果も出した。だから個人的な願望としては、この店を増やせたらいいなと思っています。メンバーが働ける場を増やしたいんです。
―そのためには、どんな準備が必要だと思いますか?
小西
そうですね。雇用も増えるし、可能性も広がるし、救われる人も多い。そのためにも、今まさに力を入れているのが「ホールリーダーの育成」です。
齊藤
ホールリーダーというポジションを設けることで、現場の効率化だけでなく、メンバー一人ひとりが成長の目標を描ける環境をつくれたらと思っています。
―育成とは具体的にはどんなことをしているんですか?
小西
具体的には、お互いに評価し合える仕組みにしています。評価って本人と評価する人の間でギャップが生まれることがあります。例えば、僕は相手を5だと思っているけど、本人は1だと思っている、とか。そのギャップを埋める作業をしています。相手の考えや自己評価に寄り添いながら進めるので、めちゃくちゃ大変ですけどね。
もちろん障がいの有無でラインを引かず、普通のホールリーダーとして育成していこうと思っています。飲食店のホールリーダーができると、正直、何の仕事でもできるんですよ。フラットに全体を見て、調整して、お客さんを満足させる。これができたら、他の仕事でも輝けると思っています。
―齊藤さんは、その育成にどう関わっていかれるんですか?
齊藤
私は一緒に成長していく伴走者でいたいです。教えるというより、一緒に頑張ろうという雰囲気で。この育成が成功すれば「私もなれるかもしれない」という希望が、あちこちで生まれるんじゃないかなって思います。
「諦めたら、試合終了」―生きづらさを感じている方へのメッセージ

―生きづらさを感じている人や、この会社に興味を持っている方に、お二人から伝えたいことはありますか?
齊藤
私はとにかくチャレンジしてほしいなと思います。私もチャレンジしてこなかった、というかできるような立場じゃないと思っていた人なので。
でも一歩踏み出すと、「やってみてダメだったらまた考えればいい」と思えるようになったんです。どんな人にも、やりたいって思った気持ちや、自分の気持ちを大事にしてもらいたいですね。KEIPEは、そんな想いを全部聞いてくれる温かい会社だと思っています。
小西
僕は、病気をしていろんなことに蓋をされそうになったんです。可能性に。世の中もそうだし、家族でさえも「仕事はやめた方がいい」「恋愛はやめた方がいい」「家にいた方がいい」って。でも、本当にそんなに何もかもできないのかなって、ずっと疑問でした。
歩けるようになったから、いろんな蓋を外してみようと思ったんです。仕事もできるようになったし、恋愛もしているし、音楽フェスにも行けるし、車も運転できるようになった。だから、“蓋をしない”でほしいです。
どこかで聞いたことがあると思いますが「諦めたら試合終了」です。諦めなかったから、今ここにいます。KEIPEは可能性に蓋をしない会社なんです。自分の可能性を引き出してくれる環境でもあるので、ぜひ自分を信じて一歩踏み出してほしいと思います。
<COLERE(コレル)>
住所:山梨県立美術館内(甲府市貢川1-4-27)
営業時間:10:00~17:00(16:30ラストオーダー)
定休日:月曜(月曜祝日の場合は火曜休み)、他美術館の休館日に準じる
Instagram:@colere_yamanashi