KEIPEと山梨県古紙リサイクル組合のチャレンジ!トイレットペーパーにストーリーを込めて

地域商社事業では、ふるさと納税の返礼品としてトイレットペーパーを販売しています。
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実は販売されているこのトイレットペーパー、甲府市の回収するミックスペーパーからリサイクルされたものなんです!この事業に協力してくださっているのが、今回対談を快く引き受けてくださった「山梨県古紙リサイクル協同組合」です!

今回は山梨県古紙リサイクル協同組合の代表理事であり、株式会社田丸の代表でもある藤巻社長(以下:藤巻)と地域商社事業部長の飯室(以下:飯室)に対談形式でお話をお聞きしました。KEIPEと山梨県古紙リサイクル組合がどんな経緯で協業に至ったのか。また、藤巻社長のドラマチックなバックグラウンドも伺っていきます!

もくじ

山梨県古紙リサイクル協同組合とは?

ー本日はありがとうございます!ではKEIPEと協力関係にあり、藤巻さんが代表理事をしている山梨県古紙リサイクル協同組合の概要について教えていただけますか?

藤巻

山梨県内の古紙リサイクル協同組合は、 山梨県内で古紙リサイクルを行っている5つの事業者さんが集まっています。

主に進めているのがミックスペーパーのリサイクル率向上です。現在提携をしている製紙会社さんが、今までリサイクルできなかった紙をリサイクルする技術を開発しました。家庭ごみの中にはリサイクルできる紙がだいたい10〜15%含まれていると言われています。そこをターゲットにリサイクルを推進しようと取り組んでいます。

ーリサイクルできるものってどのような紙が多いんですか?

藤巻

皆さんよく知ってるのが、ダンボールや新聞、チラシ、本、雑誌、オフィス系の紙、牛乳パックです。

昔は、紙パックはビニールでコーティングされているので、リサイクルできないと言われてたんですよ。しかしビニールのコーティングを剥がせばピュアパルプという紙にリサイクルできる原料が採れることが分かって、今ではリサイクルできる紙として回収されています。また、カーボン紙や写真紙はいろいろな薬品が付着しているので、リサイクルが難しいとされていました。シュレッダーの紙も繊維が細かくなってしまうのでリサイクルしにくいため、過去には燃えるゴミに入っていました。

そういった紙をリサイクルする技術を開発したのが、私たちが取引している製紙会社さんです。

ーありがとうございます。こういった分別の知識は、正確に知らないことも多いですし、もしかしたら間違った方法で捨てているかもしれません……!分別を推進するための周知に関しては、何かされていますか?

藤巻

自治会に行ってミックスペーパーやリサイクル、ごみの分別について講演をすることはあります。やっぱりなかなか分からないことも多いと思うので、直接お話して伝える機会は必要だなと思いますね。

またこういった講演をすることで、組合員さんの中で分別について説明できる人を作ることにもつながります。私自身、人に説明することで新たな発見もあるので、依頼があったときには協力しています。

壮絶な体験を多くした藤巻さんのバックパッカー時代

飯室

実際にKEIPEの企業講演にも登壇いただいたことがあるんですよ。すごく好評でした!

ーそうなんですね!どういったことを話したのでしょうか?

藤巻

バックパッカー時代の話や私が運営している株式会社田丸、業界についてです。

飯室

バックパッカー時代の話は本当にすごかったですよね。

藤巻

会社の話よりも、そっちをずっと話してしまいました笑

ー私もバックパッカー時代のお話、聞きたいです!笑

藤巻

長いですよ?笑 私は、元々株式会社田丸の創業者の息子という立場で育ちました。生まれてずっと事業を継ぐつもりもなく、親からも自分の人生だから好きに生きろと言われていました。昔から海外には興味があったんですが、特に旅に出ることもなく生活していて。

ただあるとき、親に帰ってきてほしいと言われました。その時に、ここで旅に出なければ一生後悔すると思って、1年の猶予と全財産の100万円を持ってバックパッカーをすることにしました。最悪そのまま海外逃亡を図ろうとも思っていましたね笑 バックパッカー時代は衝撃的な体験もして、そういったことが私の糧になっているなと今では思います。本当に、死を覚悟したこともありました。

企業講演では、結構生々しい話もしたので飯室さんに何度もいいんですかと聞きましたけど、飯室さんは明るく「いいですよ!言っちゃってください!」って答えてくれました笑

飯室

みんなにとって衝撃的だったかもしれないですけど、めちゃくちゃ僕は良かったなって思ってますよ。
僕からも藤巻さんに聞きたいなって思ったことがあって、そんなシビアな世界の現状を見たり、衝撃的な原体験を経験していながら、ご自身は結構明るい雰囲気に溢れているなと思うんです。どうして今のような明るい性格になったんですか?

藤巻

やっぱりバックパッカー時代の体験がものすごく強烈だったからだと思います。海外で見たものを心に刻んで、真面目に生きなきゃ、一生懸命生きなきゃいけないと思いました。

あとカンボジアのスモーキーマウンテンに行ったときに、今の仕事とも通じる体験があって。それも大きかったと思います。スモーキーマウンテンとは、発展途上国のごみ山のことなんです。本当になんでも捨てられていて、危険物もどんどん捨てられるので自然発火しています。近づくと、目がシバシバして、臭いもすごいんです。真っ黒な水溜まりから、メタンガスがぼこぼこ出てきて、そこから流れ出た水が真っ黒な川として流れてくるような場所です。実際にそこに住んでいる人もいて、リサイクルできるものをごみ山から集めて、売って生活していました。大人だけでなく小さい子どももいて、ダンプカーから降ろされたゴミに群がるんです。

うちの父親が始めたリサイクル事業と似てることをやっているけれど、とても危険ですよね。そういう危険な発展途上国の現状を見て、自分のできることを世の中のために協力できることがあるんじゃないかなと考えさせられました。

事業を継ぐモチベーションはなく、とにかくやりたい!という気持ちで旅をしてきましたけど、世界のいろいろなリアルを見る中で、心から「世の中を少しでも良くしたい」と思って。良くするためにはどうするべきだろうと考えたときに「父親の事業を継ごう」と決意しました。事業を運営して発展させることが、世の中を良くする近道だと感じたんです。そのままカンボジアから国際電話をかけたのを今でも覚えています。

あとは死を覚悟するという日本ではなかなか体験しないこともして、その分生きようという思いが生まれました。死んでしまうかもしれない体験をすると、一生懸命前向きに生きようと思えますよ。

ー死を覚悟するまでの体験をすると、社長をしていての決断とか小さく思えるかも知れませんね。

できないを補い合い、モノとストーリーを一緒に届ける事業

ーありがとうございます。本当におもしろくてつい聞き入ってしまいました!少し事業の方に話を戻すと、山梨県古紙リサイクル協同組合と、地域商社が協力してトイレットペーパーを販売しているという認識で合っていますか?

藤巻

そうですね。もともと私たち組合が行政と契約をして、ミックスペーパーのリサイクルの受け入れをやりたいという提案をしたところから始まっています。市民の皆さんから集めたものを我々の組合員のところで受け入れ、選別をして1トンの塊にして、製紙会社さんに納めることをしていました。

飯室

ここでリサイクルして出来上がったトイレットペーパーを、僕たちが販売しています。本当に組合との金銭のやりとりはない状態で。ご厚意で一緒にやっていただいています。笑

藤巻

いえ、私たちも組合の名前を使っていただけるのは非常にありがたいんです。リサイクル品は高いので、どうしても販売が頭打ちになってしまいます。それをKEIPEさんのPR力でストーリーと一緒に販売してもらえるのはすごくうれしい。皆さんにちょっと高くても、今日はこっち買うかという消費者の選択肢を増やす作業をしてもらっているなと思います。私たちの組合はPR下手なので、良い形で広げていただけるのは非常にありがたいですね。

市民の出したミックスペーパーからリサイクルされたトイレットペーパーを使えば、リサイクルの輪に消費者の方が参加できます。なかなかこういうメリットも伝えにくいので、KEIPEさんに対応してもらってとても感謝しています。

ーなるほど。そういう協業の仕方もあるんですね。ちなみに、お2人はどんな経緯で出会ったんでしょうか?

飯室

ふたを開けてみたら、提案に伺ったときには藤巻社長はすでにKEIPEのことを知っていたんです。

藤巻

そうなんです。KEIPEの赤池社長とは、知り合いの会計士の紹介で知り合いました。

飯室

僕が藤巻さんを知ったのは、製紙会社さんの紹介でした。僕が製紙会社さんに直で営業に行って、これ作りたいんですけどって言ったら、 株式会社田丸さんを紹介いただいて。絶対一緒にやりたい!という気持ちで意気込んで藤巻さんにプレゼンをしに行きました。

けど、書類を渡して、サーっと目を通してほんの1分くらいで「大丈夫です。やりましょう!」って言っていただいて!笑

藤巻

そうでしたっけ?笑

一応、理事の皆さんに紹介して承諾もらいますねとは言ったとは思います。笑 ただ、内容的に全然問題なかったですし、 私たちとしてもむしろありがたいことだなと感じました。

ー地域商社事業部と一緒にやろうと思ってくださった決断の軸はあったんですか?何でもかんでもOKって言っているわけではないと思うんです。

藤巻

もちろんそうですけどね。決断する何かがあったかって言われるとうまく言葉にできないんですけど……。

だって否定するものは何もないなと思いますし、私たちに足りてない部分を補完していただけるじゃないですか。私の感覚としては、ふるさと納税でトイレットペーパーが売れるっていう発想がまったくなかったんです!笑

飯室

言ってましたもんね。笑

藤巻

売れるんですか!?うそ!ってすごく驚きました。笑

飯室

実際に2024年12月には、製紙会社さんに96ロール箱を2500箱注文しました。これ、ものすごい量なんですよ。藤巻さんが売れると信じて協力してくれたからこそですし、結果がついてきて僕らもとても嬉しいですね。

ー地域商社がトイレットペーパーを販売することに決めた意義ってあるんでしょうか?

飯室

僕らは、KEIPEの創業からの事業である障がい者就労支援への思いがあって。障がいのある人たちにとって付加価値のある仕事を作りたい。なので、社会や地域にとってもいい、そして障がい者の雇用を産むことのできる事業の種をいつも探してるんです。

その観点から考えても、リサイクルしたトイレットペーパーを、ふるさと納税の返礼品として販売するという座組は、非常に良いモデルになるなというアイデアがきっかけになっています。

ーこの座組みって割と目新しいものなんでしょうか?

飯室

他にないと思います。

藤巻

ないですよね。返礼品をリサイクルトイレットペーパーにしているところはありますが、こういうストーリーを絡めた売り方をするのは初めてだと思うんです。

飯室

ふるさと納税の仕組みを簡単に言うと、返礼品はその場所の原料やその場所で作っているものが認められるんですね。なので、慣例で言うとトイレットペーパーの製紙工場が甲府市にあるなら、返礼品として問題ないということになります。

でも、高い技術の製紙工場が甲府市にあるわけではない。なので、僕たちはその中で「原料を使用している」というところに着目して、「甲府市内で収集しているミックスペーパーからできたトイレットペーパーです」という文脈で返礼品としての許可をいただきました。僕らしかやっていない取り組みだと思うので、よく問い合わせは来ますね。

ーこのアイデアって、どこから生まれたんですか?

飯室

僕が主導で、社員の雨宮さんと一緒に考えました。僕たちは、ただ売るだけでなく、八方よしというか、関わる人たちがWin-Winであることを大事にしていますし、そのストーリーもきちんと届けると決めています。なのでお客さまに届けるトイレットペーパーには、協力してくれている山梨県古紙リサイクル協同組合さんの情報や、寄付金の使い道などを紹介する紙も一緒に同封させてもらっています。

ー寄付金って甲府市に収められるものじゃないんですか?

飯室

そうなんです。それもあるんですが、僕たちは独自に売上の一部を寄付に充てることに決めていて、買ってくれるお客様にもその使い道を伝えています。寄付金は、96ロール1つにつき10円。48ロール1つにつき5円納めています。

昨年は実際に放課後等デイサービス(※1)へサッカーボールを寄付したんですが、ぼろぼろになるまで使い倒してくれているみたいで。今年もサッカーボールを送ろうかと考えています。

レビューでもたまに、取り組みをほめてくれたり、子どもたちのためにお金を使ってくださいみたいなことを言ってくださったりする方もいます。こういう声をもらうと、共感して購入してくれている人が増えているんだなと実感できますね。

ー実際にKEIPEと協力してみて、藤巻さんの組合や会社で反響はありましたか?

藤巻

反響ありましたよ!現場でもミックス紙がどういう形でトイレットペーパーになるのか知らなかった人もいるので、こういう風になるのかと理解するきっかけにもなりました。

今後のこと。購入してくれる人たちへメッセージ

ー今後、KEIPEとはどういった形で協力していきたいとか、なにかお考えはありますか?

藤巻

いろいろな形で協力できるとうれしいですね。先ほどちょっと出てきたのですが、やはり社員や組合員が、どのようにリサイクルされているかわからないという実態があります。なのでその見学ツアーをしたいなと思っていて、そこにKEIPEさんも参加いただいたり、取材に来ていただいたりするのも面白いと思います。

飯室

そうですね。僕たちもいろいろな拠点があるので、そこで集めたミックスペーパーをお渡しするのもいいかなと思います。あとは、一番僕たちが協力できるところが思いを届けるという部分だと思います。『やってみラボ』など自社メディアも活用して、ストーリーを届け続けたいですね。

藤巻

先ほども言いましたが、私たちはPRが得意ではないので今回の取材も本当にありがたいです。この取材記事もいろいろなところに広めたいなと思っています。

ーありがとうございます。いろんな可能性がありそうですよね!最後にふるさと納税のトイレットペーパーを購入してくれる方に、お2人からメッセージをお願いします。

飯室

ふるさと納税は、寄付したけれどもその財源がどうなったかわからないという意見は結構あるんですよね。僕らは自治体の財源をどこに寄付しようかなどの操作はできません。

ただ僕らのところに入ってきたお金は自由に使えます。放課後等デイサービスに寄付をするというのは僕ら独自だなと思うんです。トイレットペーパーを購入することで、未来ある子どもたちへの寄付につながるのは、とても社会貢献になるなと思います。

いろいろ言ってしまったんですが、総じて「購入してくれてありがとう」ってことです笑

藤巻

本当そうですね。いつも選んでいるものをリサイクル品にするだけで、環境問題について責任を果たす一歩にもつながりますよね。なので購入するだけでも、意味がある行動だと思うんです。

飯室

トイレットペーパーを購入してくれている人の2〜3割はリピーターになってくれていますよね。

ートイレットペーパーって消耗品ですが、せっかく購入するなら、ストーリーまで納得して買ってほしいですよね。

飯室

まさにまさに。リサイクル品もそうでないものも、使用感に違いがあるわけではありません。少しの意識で環境問題を解決する一歩になるかなと思います。

藤巻

そうそう。

飯室

僕たちも思いを伝えられるように引き続き頑張りたいです。

ーありがとうございます。ふるさと納税でリサイクルトイレットペーパーを購入することで環境問題の解決の一助につながること、社会貢献につながる寄付先を自分たちで選択できること、そういった“ストーリー”を商品とともに広く届けていく素敵な取り組みがよくわかりました!

今回紹介したふるさと納税のトイレットペーパーは、楽天市場から購入できます。KEIPEと山梨県古紙リサイクル協同組合の思いに共感した方は、ぜひ購入を検討してみてください!

【インタビューを受けてくれた人】

藤巻 一史

山梨県古紙リサイクル協同組合 代表理事
株式会社田丸 代表取締役社長
ホームページ:https://www.eco-tamaru.co.jp/
お問い合わせ:055-263-3611

飯室 和希

KEIPE株式会社 地域商社事業部 部長
事業内容:https://keipe.co.jp/challenge/290/