メンバーが配達ドライバーとして活躍! できないを「できる」に変えた地域商社&管理部

みなさん、今年は「桃🍑」食べましたか!?
この夏、社内では大変革が起き、KEIPEメンバーが「桃の配達ドライバー」として大活躍しました!!全国でもあまり事例を聞かない福祉サービス利用者(メンバー)の運転業務が、なぜKEIPEではできるようになったのか?その裏側では、地域商社事業部と管理部がタッグを組み、ゼロからルールを組み立てていったという経緯がありました。

「そもそも何でメンバーが運転業務をしてはダメなの?」
「ルールを新しく作るって、大変じゃないのかな…」と、気になってきたそこのアナタ!
地域商社のパワフルリーダー飯室和希(以下、かずき)と、”フッかる”が魅力の管理部・総務&労務担当の(はーちゃん)にアツく語っていただきましたので、ぜひお読みください!!
(※地域商社事業部では「ふるさと納税部門」の商品として、山梨県産の桃を扱っています)

もくじ

※用語解説

桃のドライバー誕生!そのきっかけとは?

ーそもそも、メンバーにドライバーを任せたいと考えたきっかけはあったんですか?

かずき

そうですね、きっかけは去年の出来事です。フルーツの取引量が…多分8,000キロくらいだったんですよ。僕とともみ(※KEIPE社員であり、かずきさんの相棒)の2人で、何から何まで全てをやっていました。1日3時間×3ヶ月間を、フルーツの出荷に使ってたんです。

今年は総取引量で多分50トンぐらいになるんです。で、去年のスタイルで今年も同じように作業をしていたら無理だな、と思いました。まず、オペレーション的に難しいのと、事業部長である僕が出荷作業ばかりをやっちゃいけないなって。僕の時間はもっと先々を見据え、事業部の成長やKEIPEのチャレンジに費やさなきゃいけないなと。

まず、こんな感じで壁にぶち当たったのが、きっかけでしたね。
そこで他に誰か任せられる人はいないかな?と去年から考えていました。例えば、パートやアルバイトを採用するか、別チームに依頼するとか…いろいろな選択肢があった中で、メンバーが車を運転できたらなって、考えが浮かびました。車を運転して会社に来てるメンバーはいっぱいいるし「じゃ、配送任せればいいんじゃない」とシンプルに思えたのが、ひとつのきっかけではあったかな。

ホントにできるの!?手探りのスタート

ーはーちゃんは、その背景を初めて知りましたか?

はーちゃん

私は入社して半年ちょっと経ったぐらいで、KEIPEの歴史も、どういう方(メンバー)が働いてるとかってあんまり知らなかったんですよ。依頼が来たときに「えっ、本当にやるんだ。」という気持ちになりましたが、出せなかったんです。ずっとこのプロジェクトが終わるまで、言葉には出せてなかったです。だから、「当然いけるでしょ!」って思っている地域商社と、私の温度感ってすごく落差がありましたね。

ー今まで、なんで実現できなかったんでしょうか?

かずき

う〜ん。社内で検討自体してこなかったかもしれないですね。
事業所外への送迎含め、車の運転はサポーター(※支援員)がやるもの、っていうのが一般的であり、共通認識みたいな感じでした。

実は僕も「メンバーが本当に運転していいのかな」と、心のどこかで思っていました。でも、KEIPEがこの先サポーターもメンバーもひっくるめた「全社員総活躍企業」を目指していくなら、「メンバーが運転をしてはいけない」という壁は、超えていかなければならない。運転業務ってめちゃくちゃ需要があるから、活躍していける場を創ろう!という想いはかなりありました。

ー福祉業界ではサービス利用者が会社の車を運転するとか、あまり聞かない印象ですが?

かずき

そうですね、メンバーは障がいや病気をかかえた「福祉サービスの利用者」という立場なので、第一に健康や安全面を考えていかなければならない。僕が今回提起できたのは、運転業務を地域商社のいち事業として考えてたからだと思うんですよね。だから言えたし「できるようにして!」と管理部にお願いができたのかなって思っています。

安全面を考えていった時に、解決しなきゃいけない部分はたくさんあると思います。でも、そこははーちゃん中心に管理部が動いてくれると信じてました。何の心配もしてなかったし、実現した今ではめちゃくちゃ感謝してます!

実現に向けて、管理部が動き出す!

ーかずきさんは、はーちゃんや管理部が裏でどういった動きをしていたのかは、聞いていましたか?

かずき

slack(※社内のコミュニケーションツール)のなかで経緯を見たりしました。もちろん、地域商社のみんなでいつも見てますよ!

はーちゃん

見てるんだ!(笑)
最初はさっき話したとおり、「マジか、ほんとにやるんだ」と思いました。あとは、業務の手順として、前例がなかったから、一体何から手をつければいいんだろう?って悩みましたね。管理部の仲間のアイデアや手を借りながら、まずは会社がお世話になってる弁護士さんや社労士さんに、労務管理上のことを聞くところから始めました。

また、市や県に問い合わせて情報も集めました。そして「法律的なところは大丈夫そうだ!」ってなったら、次は社内での運用ルールを決めていきました。その際、主治医の診断書・意見書をもらうべき?といった議論があって、結局、もらうことにしたんですが、何を軸にして、診断書をもらうのか、もらわないのか…この軸ってなんだ!?みたいな混乱もありましたね。

根本から家を組み立てるように、手探りしながら進めていって…。最終的には、たとえば「Aさん」っていうメンバーが「ドライバーの業務をするとなったら、こういう手順を踏めばOKが出せる!」というルールを構築していきました。

かずき

なるほど、最初は「マジか…」ってなったって言ってたじゃないですか。で、手順を組み立てながら、手応えってありましたか?「意外とできるんだな」みたいな。どういう感覚だったんですか。そのあたりを結構知りたい。

はーちゃん

始める前は何にもわからないから、どこから手をつければいいかわからなかったんです。でも「ちゃんと手順を踏めば完成できるんだ!」というのはすごく自分の経験になったんですね。会社の一大プロジェクトを通じて、個人的にもすごい勉強・経験をさせてもらいました。実務的な面でも、気持ちの面でも「やればできるな」っていうのはすごくいい経験になりました。

社内にうまれた、ポジティブな変化

ー(かずきさんへ)実現して、どのくらい自分の仕事に集中できましたか?また、社内外からの反応はありましたか?

かずき

【かずき】
業務の効率化はめちゃくちゃできてます!
今まで僕が担っていた1日3時間×3ヶ月間の出荷や配送作業を、今ではほぼしていないので、20日あったら60時間の空き時間ができる。その時間を切り出すことができているっていうのは、管理部はじめ関わってくれた皆さんが注力してくれたおかげなので、本当に素晴らしいなって思っています。

あとは、外部の企業の方と話をした時に、うちの会社ではメンバーが配送業務をしてるんですよって伝えたら「いや〜すごいことだね〜!!!」みたいな反応がありました。会社の一大プロジェクトとしてチャレンジして、メンバーの能力を活かすことができているっていうのが、すごい驚き!みたいなリアクション。「KEIPEさんって、そういうチャレンジが当たり前のようにできて素晴らしいよね!」といった反応もいただきました。トラブル、クレームは一件もないし。うん、ほんとに素晴らしい。

あとは、メンバーが農家さんのところに行ったりすることに若干の心配はありました。コミュニケーションが苦手な方もいるので…。でも、実際には何の問題もなくやり取りができているので、それが予想外に嬉しかったです。これはメンバーのTさんやYさんが責任持って業務に取り組んでいるって証だなって思っています。正直、自分ではそんなにイノベーションだと思ってなかったんですよね。でもこんな風にね、記事に取り上げてくれてるっていうことも、思っていた以上に嬉しいことだな〜

ーはーちゃん、携わった管理部としてはどんな気持ちですか。

はーちゃん

そうですね〜、社外の反応とかは今かずきさんから初めて聞きました。今回のプロジェクトに携わった管理部として「やりたかったけど、できなかった」のが、法律的な決まりとかじゃなかったって気づきました。ストップしてたのって、やっぱ人の心理だったんです。私も「本当にやるの?できるの?やっていいのかな?」っていう、根拠のない不安がありました。

蓋開けてみたら決まりではなく感情の面で制限をされていて。
実際の懸念として安全面というのはあったけれど、それを払拭するために動けたっていうのは、すごい良かったなと思います。今回の依頼が来なければ実現しなかった。管理部独自で動くことではなかったから。

ーかずきさん、運転をする前とあとでメンバーの変化はありましたか?

かずき

そうだな〜、いい意味でも悪い意味でも、何か変化が起きたかっていうと、 意外とそこまでは感じないかな…と思ってます。

車の運転をして出勤してるメンバーが、そのいち日常のスキルを業務に活かせて良かったって実感してます。運転業務に携わるメンバーは現在2名なのですが、信頼しているよという意味で「今は2人にしか任せていないんだよ」ってことは伝えてます。

それと、「出来るよ」って思いながらも、健康・安全面は当然気にしています。取引先に行く時や帰ってきたときも、声かけをしたり、表情を見るようにはしていますね。ですけど、本当に当たり前のように活躍してくれてるっていうのが、正しい感じかな。

人の「可能性」を信じ、バリアを取っ払う!

ーKEIPEって人の可能性っていうのを大切にする会社ですよね。自分の可能性に蓋をしない、チャレンジってどんなことなのか?2人に語っていただきたいです!

はーちゃん

自分の話で恐縮なんですが、私、シングルマザーなんですよ。1人で子供を育てて、働いて収入を得ないといけないんです。

KEIPEに入る前に就職活動をしてたんですけど、希望する会社の始業時間が30分遅かったり、在宅勤務ができたら正社員と同じ時間で働けるのに…とか、子育て中の母親なので、出勤の時間とか考えるとパートで働かざるを得ないという制限がすごくあって。お金を稼がなきゃいけないのに、いろんなバリアがあって稼げない。そんなジレンマがあったんですよ。

KEIPEに出会った時に「誰もがそこにいていい社会」っていうフレーズに涙がでるくらい感動したんですね。なんでかな?って考えてみると「自分は能力があって働けるのに、バリアがあって働けない」って思ってたからだって、昨日洗濯物干しながら気づいて〜!(笑)

可能性は誰にでもあるし、自覚してるんじゃないかな。私の場合では「時間というバリア」、今回のプロジェクトでは「メンバーは運転できない」という暗黙の了解みたいなバリア。それをとっ払えばもっと可能性が伸びていくなって感じます。

かずき

なるほど。人の可能性。難しいな。

はーちゃん

かずきさんは、業務内容的に私よりも人にフォーカスする場面が多いと思うんですが、さっきの話も聞いてて、メンバーが運転することは、特別じゃない。その人の日常と変わんないよ。って言ってましたよね。

そこから思ったんだけど、かずきさんはやっぱりメンバーをすごくフラットに見てると思う。正直、私はまだメンバーを「障がいがある人」と型にはめた見方をしてると思いました。

かずき

僕がいわゆる健常者っていう立場、で言っちゃうと元も子もないんだけど、勝手にできない理由を探してほしくなくて。

例えばメンバーが「体調不良で遅刻します」って言ったとする。いろんな事情があると思うんだけど…「なんで遅刻したの?あなたが遅刻することによって、こういう風になるんだよ」っていうことを、障がいのある・なしに関係なくハッキリ伝えて指導するっていうのは、大事だなって思っています。そうすることで、メンバーとフラットに付き合えてるのかな?

ダメな方向に考えたり、簡単に「できない」って言ってほしくないな〜っていうのは、常々思っています。結局、自分をコントロールできるのは自分しかいない。 よく話すのは「自己肯定感を下げてるのは自分だぞ!」っていうこと。誰かに何かを言われたとかじゃなくて、自分を下げてるのは自分なんだよね。

可能性についても同じかなと思っていて。もっと自分自身を信じてほしい。自分を信じてみると「できること」はたくさんあると思うんですよ。それが大きい・小さいは関係なくて、積み重ねることによって、さらに大きな可能性が広がっていくんじゃないのかなって思ってます。

タッグを組んで、これからもイノベーションを起こす

ー今回、プロジェクトとして桃の配送ドライバーを実現できましたが、今後はどんなイノベーションを起こしたいですか?

かずき

そうですね、仕事的な活かし方でいくと、今回のプロジェクトで「メンバーも車の運転が可能!」ってなったから、物流の仕事に活かせるかもしれないし、事業所外業務の送迎もできるし、社内業務での活躍の場も広がりますよね。

さらに、2024年の物流問題とかもあったりすると思うんですけど…もしかしたら、そういった社会的な課題の解決とかにも繋がるかもしれないっていうことは思っています。

はーちゃん

さっきかずきさんも言っていたように、このプロジェクトは「事業部のなかで必要だから、仕組みやルールをつくって!」という依頼だったんです。ここの人員をちょっと補填したらもっと事業が伸びるぞ!みたいなところが、今回結果的にイノベーションにつながったので、管理部の私としては「来いよ」みたいな。(笑)

現場のみんなが考える「もしこれが実現したらもっといいんだけど…」というリクエストが欲しいなって思ってます。各事業部のアイデアってすごいんですよ。私が普段の業務をする中では思いつかないです。みんなそれが専門分野だから思いつくわけじゃないですか。だから、そのアイデアの部分は各事業部にお任せして「これできる?」って管理部に投げてもらえたら、一緒に協力しあってKEIPE全体を良くしていけるんじゃないかな〜と思ってます。

「今」を大切に、そして自分の可能性を追求する

ーかずきさんもKEIPEに入社してから紆余曲折あったそうですね。今までとこれからをふまえて、ご自身の可能性についてどう思っていますか?

かずき

“ここに行きたい”っていう目標がある中で、成長していかなきゃいけないんです。常に足りない、自分は足りないなって思っている。目標地点に行きたいのに、現状のままでは到達できない。なら、自分に何をしなきゃいけないのかって考える。このギャップみたいなものは僕にとっての可能性だな。すべきことをしないと目標地点に絶対に行けないんです。自分の決めたことに対して、大変だなって思う時もあります。でも足りないものを見つけてやっていくっていうのは、可能性の追求みたいな感じはしますね。

僕がKEIPEで1番可能性を追求していたい!そしてみんなに背中を見せて、引っ張っていけたらいいなって常に思っています。

はーちゃん

個人的にかずきさんに聞きたいことなんですが、自分の可能性を信じられないって人がもしいたら、どう接しますか。「私、そんなに頑張れないです」みたいな。「傷つくのが怖いから無理です」って言われたら、なんて答えますか。

かずき

そうですね、「今やってることを、一生懸命頑張ろうな!」って言いますね。っていうか、それしかないと思っています。今、目の前にあるひとつのことを、やりきれなかったら未来の可能性もくそもないな!と思ってて。もう無理です、って言う人にはそう伝えてますね。

先のこととか考えず、目の前のすべきことをがむしゃらにやりきって頑張ってみる。全力でやりきると、絶対に未来の可能性につながるんですよ。余計な何かを考えるんじゃなくて、純粋に自分のすべきことに対して全力でやりきる、っていうのはめちゃくちゃ大事だと思ってます!

はーちゃん

私もそうだし、人間って誰しも先のことが不安なのかなって思うんです。私も自分を振り返って不安になったり、ブレちゃったりした時は、とりあえず今日やることやろう!と乗り切っています。

で、かずきさんの話を聞いて、やりきった先にその人の可能性があるのかなって思いました。今ふんばらなきゃいけない。未来ばっか心配しても、結局どこにも行けないのかなって思いますね。

かずき

結構その辺って僕、グラデーションだと思ってて。もちろん未来も見なきゃいけないし、でも目の前もちゃんと見なきゃいけない。だから、頑張れないって言ってる人は、多分その辺の目線がごちゃごちゃしてたりする状況なのかな?僕もやっぱりそう思う時はあります。未来へ向かう目標も大事。でも今が1番大事。そういうふうに意識してます。

みんなで幸せになりたい

ーこの先のKEIPEは「全社員総活躍企業」を目指していきますよね。かずきさん、地域商社の夢や目標はありますか? はーちゃんも管理部にこうなっていってほしい…といった想いはありますか?

かずき

そうですね、会社の数字的なところで言うと…今期多分1億いったんで、3年後に10億、そうすれば多分1,000名の雇用ぐらいは作り出せると思ってます。メンバーの雇用と地域商社事業部の「ふるさとを豊かにつなぐ」という存在意義がリンクしていって、地域の日常と産業を作り出すっていう目標が、数字が到達すれば達成できるかなとは思っています。

あとはKEIPEにいるみんなが何かに困ることなく…豊かに幸せに生活していければいいな。贅沢できなくてもいいけど、安心して日常の生活ができるような。そのための成果を創り出せる事業部でありたいなって思ってます。

ー管理部の存在意義は「働く喜びを守り、探求し、実現する」でしたね。はーちゃんは、地域商社事業部の思いに対して、管理部としてどう応えたいですか?

はーちゃん

個人の野望としては、かずきさんと似ていて、社員1人1人がみんな幸せになってほしいんですよ。「みんなに幸せになってほしい」って、抽象的な言い方だけど、私の思う幸せが、さっきの可能性の話とも繋がるんです。自分のことを好きになって、 好きな自分として生きていってほしい。だからといって、会社で何ができるのかっていうのは、ちょっと未知数ですけど。

例として、事業部がやりたいことを仕組みとかバックオフィス的な面で全力でサポートするっていうのも、幸せに繋がるだろうし。「ルールがこうだったらもっと助かるんだけど…」といった相談や依頼もしてほしい。法律的な制約でできない?と思っていても、もしかしたらどうにか実現できるかもしれない。違うやり方があるかもしれない、といった”探求”なら管理部に任せてほしい!

会社が個人に対して何かできるとしたら「その人が1番働きやすくて、最大限才能を活かせる環境を用意する」っていうことかなと思っています。

ーありがとうございました。地域商社事業部&管理部のみならず、これからも事業部を超えたチームワークで、どんどんKEIPE社内にイノベーションを起こしていきましょう!

かずき&はーちゃん

はい、頑張ります!ありがとうございました〜!