関わることで、変わる。——KEIPEが初めて挑んだ長期実践型インターンシップの半年間

「インターンシップ=就活の下見」。そんなイメージを持っている方は、少なくないかもしれません。

2025年、KEIPE株式会社は初めて「長期実践型インターンシップ※1」に挑みました。半年間、学生たちは社員と同じ目線で事業に関わり、自ら考え、行動し続けました。その過程は決して順調なものばかりではありません。そして変わったのは学生だけではありませんでした。社員もまた、学生と本気で向き合う中で揺さぶられ、共に成長していったのです。

今回は、KEIPEの外部パートナーとしてKEIPE Internship2025のコーディネーターを務めた小宮山文登さん、Cycleインターンチームの長谷川実咲さん(当時・山梨大学3年生)、業務改善チームの山崎龍之介さん(当時・山梨学院大学1年生)の3名にお話を伺いました。
※1 長期実践型インターンシップ
企業説明や短期の職場体験とは異なり、学生が実際の事業活動に長期間参加し、実践を通じて学ぶインターンシップの形態。

「山梨での第一歩を、KEIPEで」——実践型インターンシップが生まれた理由

―小宮山さんがコーディネーターを担うことになった経緯を教えてください。

小宮山

社長の赤池さんとは以前から交流があって、「一人ひとりが力を発揮できる組織を、地域でどうつくっていくか」といった話をよくしていました。

僕自身、学部時代からいろんな会社でインターンシップをさせてもらっていて、プロジェクトのメイン担当を任されたり、一人の社員として扱ってもらう機会が多かったんです。実践の中から学ぶことってたくさんあるし、こういう経験をもとにしたキャリア形成の方が納得感がずっと増すだろうなと考えています。

―地域の中小企業で実践することが大事だと考えた理由は?

小宮山

人が少なくなっていく中で、これまでの「数の採用」はできなくなっていきますよね。一人ひとりがその人の力を発揮して、会社の枠を超えて活躍するような在り方から、事業が展開されたり、企業の形が変わっていく。そういう組織を地域の企業がつくっていくことで、「この人たちと働きたい」「ここに戻ってきたい」と思える土壌ができるんじゃないかと。

そうした「人が戻ってきたいと思える環境づくり」を地元である山梨でも進めたくて。その第一歩をどこで踏み出すかと考えたとき、この思いに共感してくれていたKEIPEとやりたいなと思いました。それで赤池社長を何度も口説いて、実現にこぎ着けたんです(笑)。

―一般的なインターンシップとはかなり違うなと感じました。報告書には、学生の葛藤や挫折まで描かれていて、キラキラした成功談ではない。「答えではなく問いを共有して成長していく」ことを大切にされているんですね。

小宮山

実践にこだわっているのは、見ているだけではわからないからです。実際に人と関わって、企画を一からやってみることで、関係者がどれだけいて、一人ひとりがどう思っているかに触れられる。実感があると出てくる企画の質も変わってきます。だから実践型というところにこだわっています。

「自由で、フラットで、一人の社員みたいだった」——学生たちの半年間

―お二人は、どんなきっかけでKEIPEの長期実践型インターンシップに参加されたんですか?

山崎

大学1年生の夏休みが終わったころ、「このままじゃダメだよな」って思ったんです。学歴フィルターみたいなものを感じることもあって、自分でなんとかしないとって。先生の紹介で飛び込みました。

長谷川

私は2年生のころに、山梨県内の大学生と企業が一緒に取り組む「Miraiプロジェクト」でKEIPEと関わらせてもらったことがあって。また機会があればKEIPEに関わりたいなと思っていたところ、社員の後藤さんからお誘いをいただいて参加しました。

―実際に参加してみて、どんな日々でしたか?

山崎

僕は業務改善チームに配属され、大学がある時期は週2〜3回、春休みの間は週4~5日で出社していました。春休み中は10時から17時まで、ほぼ社員と同じです。

いい意味ですごく自由だなと思いました。決められた仕事をやるだけじゃなくて、KEIPEでは社員の一員みたいな感じでやらせてもらえる。僕らが何を言っても「じゃあやってみようよ」ってなることが多いし、意見を出すこと自体を否定されない。一緒に会社の事業をつくっていくような感じでした。

長谷川

私はCycleというお店に週1~2回通って、接客やレジ対応をしたり、空いている時間に企画を考えたりしていました。

決まったフローは特になくて、お店が忙しいときは週3回になることも。オンラインの会議も週1回あって、大体週2~3で関わっていましたね。

「『地域のため』って、あながち嘘じゃないかも」——長谷川実咲の変化

―長谷川さんは報告書の中で「地域や他者のためにという考えが、あながち嘘じゃないかも」と書かれていましたね。

長谷川

3月に、Cycleの周年イベントで「金手さんぽ」というイベントを企画したことがきっかけでした。もう一人のインターン生と二人で企画書を一からつくって、地域のお店に声をかけて回って。結果的に、Cycleで過去最高の集客数を達成できたんです。

―イベントを成功させるまでには、どんなステップがあったんでしょうか?

長谷川

最初は、一緒にお店に立つCycle店主のカズさんともお互いに遠慮があったんです。特に私は「指示を待つ」という意識が強くて、自分から提案することにブレーキをかけていました。

でも、小宮山さんとの面談で「長谷川さんがお店を動かす存在になっていいんだよ」と背中を押してもらって。徐々に自分の意見やアイデアを言葉にできるようになっていきました。カズさんもそんな私の変化を受け止めてくださり、最後は二人三脚で企画を練り上げられましたね。

また、広報チームのインターン生も色々なメディアにアプローチしてくれて、ラジオや新聞の取材につなげてもらえたのも大きかったです。一人で抱え込まず、チームとして動くことの強さを実感しました。

売上や集客の数字もうれしかったんですが、それ以上に、一緒に活動してきたカズさんやCycleの方々がすごく嬉しそうにしているのを見たとき、一番やりがいを感じました。

小宮山

実は、インターン生がいなかったら周年イベント自体やらなかった可能性もあるんです。企画をやるって言ってくれたから実現した。その熱を生み出したのもインターン生だし、チームを超えて広報のインターン生と連携して大きなうねりをつくってくれたのもすごかったですね。

「ザッキーがいてよかった」——山崎龍之介の変化

―山崎さんは、途中から「インターン生として」ではなく、「山崎がいてよかった」と思ってもらいたいという目標に変わったとお聞きしました。

山崎

担当が業務改善ということもあり、いろんな社員さんと関わる機会が多くありました。みんな「ザッキー」って呼んでくれて、仕事も振ってくれる。個人として覚えてもらってるんだなって感じて、インターンの間に「ザッキーがいてよかった」って思ってもらえるようになりたいと思いました。

―業務改善の仕事では、どんな成果がありましたか?

山崎

一番印象に残っているのは、メンバーさん※2との面談の記録作業をAIで改善したことです。これまでは面談の報告書が報告者によってバラバラだったので、担当社員さんたちにヒアリングをして、「面談中の音声をAIが自動で文字起こしして、決まった形式にまとめてくれる仕組み」をつくったんです。

最初はビジネスのことも、AIへの指示の出し方もわからなかったけれど、ゴールへのタスクは自分で考えて動きました。

小宮山

途中から僕も壁打ち相手になって、「このロジックは合ってる?」「誰に話を聞いたらいい?」ってどんどんぶつけて、次のアクションを一緒に生み出していく感じでしたね。

山崎

小宮山さんが壁だったら貫通してるぐらい壁打ちしました(笑)。

※2 メンバー
KEIPEにおける障害者就労継続支援A型事業のサービス利用者のこと。現在は全社員総活躍企業として、障がいの有無や雇用形態に関わらずKEIPEで働くすべての人がKEIPEの社員・仲間として活躍できる環境を目指しており、呼び名も社員との区別をつけない取り組みも始めていますが、この記事では便宜上「メンバー」の呼称を使っています。

「学生が育った以上に、組織が育った」——会社・社員に起きた変化

―学生を受け入れることで、会社や社員の側にはどんな変化がありましたか?

小宮山

組織は、一定のメンバーで続けていると硬直に向かっていく傾向があるんですよね。だから何割かは流動性のある部分をつくった方がいい。そこにズレが起きて、「この事業は本当にこれでいいのか」「自分の在り方はこれでいいのか」って問いの文化が生まれるんです。その流動性を担ったのが、今回はインターン生でした。

山崎

僕が想像していた会社って、上司がいて部下がいてというピラミッド型だったんです。でもKEIPEは違いました。最初から社員のみなさんが対等に接してくれて、「インターン生だから」という扱いじゃなく、一緒に事業をつくっていく仲間として本気で向き合ってくれたのが印象的でした。

長谷川

小宮山さんとの月1回の面談はすごく大きかったです。「『自分の役割』を考えて動いてみて」と言われて、それまで考えたことがなかった視点に気づけました。金手さんぽも、最初は「できないかも」と相談したんですが、「いや、それはやった方がいいよ」と後押ししてくれたから実現できました

小宮山

大事なのは、多様性を持つことで生じる「ズレ」や「摩擦」に、企業側が深さを持って向き合えるかどうかです。中途半端にすると、お互い何も学びがないまま終わってしまう。

結果に向かっていく過程でズレが生じることは、僕は美しいことだと思っています。そのズレが議論を生んで、熱を生んで、新しいものを生み出す。学生と本気で向き合う中で、担当した社員自身がそれを一番学んでいたんじゃないかなと思います。

「限界はないよ、やってみな」——これからの実践型インターンシップ

―インターンシップを終えて、お二人の中に残っているものはなんですか?

長谷川

KEIPEでは本音で向き合ってくれるし、人に見せたくない部分も受け入れてくれる。「見せてもいいんだな」って思えました。就職に対する考え方も変わって、「お給料や安定だけじゃない」と思えるようになりました。でもどれを選べばいいかはまだ悩んでいます(笑)。

小宮山

全部取ればいいんじゃないかな(笑)

山崎

僕は、「できないから」って言い訳しなくなったかもしれないです。

小宮山

それ、言わなくなったよね。すごい変容だと思う。

―これからインターンシップを考えている学生に、どんな言葉をかけたいですか?

山崎

「限界はないよ、やってみな」って伝えたいです。今見えていることだけで判断するんじゃなくて、一回飛び込んでみるのはすごく大事なんじゃないかなって思います。

長谷川

単に言われたことをこなすだけじゃなくて、KEIPEでは社員の方も一緒に答えを模索していく感じが本当に新鮮で。取り組んでみようっていう気持ちさえあれば、それでいいのかなって思います。

小宮山

「何かしたいけど踏み出せない」と悩む学生は多いと思います。特別なスキルがなくてもいい。自分の中の違和感に気づいて、「向き合いたい」という気持ちさえあればぜひ参加してほしいです。そこから先は、僕たちが一緒に走ります。

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「インターン=就活の下見」ではなく、「自分と仕事を接続する経験」。KEIPEが初めて挑んだ長期実践型インターンシップは、学生だけでなく社員も組織も、一緒に揺さぶられ、変わっていく時間でした。

「自分には何もない」——そう感じている学生の皆さん。まずは、飛び込んでみてください。あなたの違和感が、きっと誰かの問いになります。

「関わることで、変わる。そして、共につくる。」KEIPEは、そんなふうに一緒に走る仲間をお待ちしています。