発起人
平原由梨子《YURIKO HIRAHARA》
病院でリハビリテーション業務や行政より受託の相談業務に19年従事。内閣府地域課題対応人材育成事業のイタリア派遣で共生社会のヒントを得て、本当に実現したいことを追求しKEIPEに入社。認定作業療法士、社会福祉士、国家資格キャリアコンサルタント、ジョブコーチ、OTD認定講師(組織の風土共創コース)など。学びの探求癖がある。旅が大好き。おすすめは八丈島、明日葉、島寿司。
私が学生の頃、バリアの捉え方が「ICIDH(国際障害分類)」から「ICF(国際生活機能分類)」というモデルに変わりました。簡単にいうと、以前のICIDHはそのひと本人が抱える機能面の障害だけが唯一の原因と捉えていましたが、ICFはひとがどのような環境や健康状態で生きているかを世界共通に認識して、「“ひと”と“環境”との相互作用」の間で生まれるものだと捉えるモデルです。
これが、すごく画期的かつ、自分の原体験や世の中を見ていて感じていたフラストレーションの答えにもなって、印象的だったんです。「これだ!!!」って思って。
学生の時は、進行性疾患のある仲間たちともっと自由に外出するためのボランティアをやっていたのですが、介助ではなく、環境との間にバリアがある人と一緒に、日常当たり前にやりたいこと(BBQ、花火鑑賞、飲み会、温泉旅行など)を行い、その対処の仕方を都度考えたり、考えてもらいながら、自然にまちに広めていくっていう地味な活動でした笑
その活動で、「私たちが暮らす環境は、私たち自身も変えていくことができる」という実感もあったんですが、「なんでこんなに苦労しなきゃいけないんだ・・・」というフラストレーションもあって。
そこに「ICF」の考え方がぴったり来たんです。
この価値観がスタンダードになっていくんだ!という希望を持って、いざ実際に病院勤務でリハビリテーション業務に就いたのですが、世の中はICIDHの理解まま動いていて。日本で障害を「社会モデル※」で捉える認識が、なかなか広まらないのは何故だろうと疑問に思い続けてきました。
そこで、
内閣府事業でイタリアへ派遣いただき、障害のある方の暮らしぶりを視察し、政府関係者とディスカッションをする機会を得ました。現地では、社会モデルの理解が驚くほど進んでいて。どうやったらこの文化を日本にも広めていけるだろう、と方法を模索していた時に、この
OTD普及協会のワークショップに出会いました。
これは、ダイバーシティ&インクルージョンを学び、組織変革を起こすための体感型ワークショップなのですが、「あ!こうやって理解して、ゲームなどを通じて体感して、解決法を考えるという経験を通してなら、社会を変えていくのにすごく有効だな」と感じたんです。そこに、東京大学の星加良司さんなど障害学を研究しているアカデミアの知見も入ったプログラムだったので、納得感がとてもありました。
日本はまだ、医療・福祉・雇用・行政も、ひとと環境の相互作用の中で生まれる困りごとを個人の側に要因があるという「個人モデル」で解決しようとする傾向がある中で、このワークショップは、私の実現したい社会と、KEIPEの目指す未来に貢献できるものになるなと思って、ファシリテーターになることを決めました。
KEIPEという組織をハブにして、福祉の現場に留まらず、さまざまな場所で開催していけることがとても大切だと思うので、ぜひたくさんの方に体感していただきたいです!
※社会モデル…各種バリアのある方が直面する困り事が、社会や環境の側に起因するものとする考え方
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おすすめ文献
“障害”ってそもそも何だろう? 困難の原因を「社会モデル」から考える──バリアフリー研究者・星加良司さん
福祉をたずねるクリエイティブマガジン 『こここ』より
▶︎記事はこちらから
『「社会」を扱う新たなモード「障害の社会モデル」の使い方』
飯野由里子/星加良司/西倉実季 (著)
発行所:株式会社生活書院
▶︎ウェブサイト
「障害の社会モデル」について、理解をアップデートできます。
記事は無料で読めるので、ぜひご一読ください!